野球の上達に役立つのは練習だけ? その2
2015.08.04 Tuesday
昨年3月に第一弾を投稿して頂いた米田氏より、その続編が届きました。
前回、私が担当したコラムでは、子どもの頃にいろいろなスポーツを経験することにより、自分自身の身体を思い通りに操る能力が身につくというお話をしました。
今回は物(ボール)を投げるという動作について考えてみたいと思います。
投げる動作は歩く、走るなどの自然に身につく動作とは違い、経験や練習により身につける動作と言われています。
子ども達が投げる経験をするのは、普段の遊び、学校での体育や少年野球などのスポーツに参加するなどの機会が考えられます。
最近はサッカー人気に少し押され気味ではありますが、野球も子ども達に人気のあるスポーツであることには変わりません。
私も医療機関などで不幸にも野球肘などの投球障害になってしまった子ども達を診させていただく機会があるのですが、その中で感じるのはスポーツとして野球を行う以外で投げる経験が少ないのではないかということです。つまり、普段の遊びの中で物を投げる機会が昔に比べて減ってきているということです。
その要因としては、遊びの変化、遊び場の変化や子ども達を取り巻く環境の変化などが考えられます。
遊びの変化としてはテレビゲームや携帯型ゲーム機などの普及により、遊びの選択肢が多様化する中で、身体を動かして遊ぶ機会が減ってきていることが考えられます。
遊び場や環境の変化としては、ボールやバットなどの道具を使った遊びが禁止されている公園などが増えてきていること、また社会環境の中で、子ども達だけで行動できる範囲や時間が減ってきていることがあげられます。
私(中日ドラゴンズ山本昌投手と同い年)の小学生の頃を思い返してみると、いつもランドセルの中に軟式テニスのボールが入っていて、校庭、神社の境内などでボールを使っていろんな遊びをした記憶が蘇ります。
その一例を挙げてみると、野球形式の遊びではバット(棒きれの場合もあり)を使った野球、ワンバン野球(素手で打つ)、三角ベースなど。野球以外では4人テニス(素手で打つ)、壁当て野球(かどぶつけ)、いちばん二番(フライとり)などなど。遊ぶ仲間や人数によって何をして遊ぶかを決めたりルールを変更したり(例えば、透明ランナー:人数が少ないと塁にいる間に打順が回ってきてしまうので、打者と同じスピードで走る架空のランナーがいるとみんなが仮定する)しながら暗くなるまで遊んでいました。
伝承遊びの「メンコ遊び」が遠投能力の獲得に役立つことや、「鬼ごっこ」が敏捷性の向上に役立つことも報告されています。すべて昔が良かったというつもりはありませんが、これらを参考に今の子ども達の遊びの中にもそれらを取り入れて、伝えていくことも我々大人の役割ではないかと考えています。
また、良い選手のマネをしたりすることも大事だと思います。目で見たものと同じ動きをするためには、自分の体がどの様に動いているかを感じ取ることが必要です。それが体のコーディネーション(調整力)向上に繋がります。
そのためにも、普段からテレビでプロのプレーを見たり、もし機会があったら実際に球場に足を運んだりして、プロのプレーを直接目に焼き付けていただけたらと思います。
西武ライオンズ
米田 進
前回、私が担当したコラムでは、子どもの頃にいろいろなスポーツを経験することにより、自分自身の身体を思い通りに操る能力が身につくというお話をしました。
今回は物(ボール)を投げるという動作について考えてみたいと思います。
投げる動作は歩く、走るなどの自然に身につく動作とは違い、経験や練習により身につける動作と言われています。
子ども達が投げる経験をするのは、普段の遊び、学校での体育や少年野球などのスポーツに参加するなどの機会が考えられます。
最近はサッカー人気に少し押され気味ではありますが、野球も子ども達に人気のあるスポーツであることには変わりません。
私も医療機関などで不幸にも野球肘などの投球障害になってしまった子ども達を診させていただく機会があるのですが、その中で感じるのはスポーツとして野球を行う以外で投げる経験が少ないのではないかということです。つまり、普段の遊びの中で物を投げる機会が昔に比べて減ってきているということです。
その要因としては、遊びの変化、遊び場の変化や子ども達を取り巻く環境の変化などが考えられます。
遊びの変化としてはテレビゲームや携帯型ゲーム機などの普及により、遊びの選択肢が多様化する中で、身体を動かして遊ぶ機会が減ってきていることが考えられます。
遊び場や環境の変化としては、ボールやバットなどの道具を使った遊びが禁止されている公園などが増えてきていること、また社会環境の中で、子ども達だけで行動できる範囲や時間が減ってきていることがあげられます。
私(中日ドラゴンズ山本昌投手と同い年)の小学生の頃を思い返してみると、いつもランドセルの中に軟式テニスのボールが入っていて、校庭、神社の境内などでボールを使っていろんな遊びをした記憶が蘇ります。
その一例を挙げてみると、野球形式の遊びではバット(棒きれの場合もあり)を使った野球、ワンバン野球(素手で打つ)、三角ベースなど。野球以外では4人テニス(素手で打つ)、壁当て野球(かどぶつけ)、いちばん二番(フライとり)などなど。遊ぶ仲間や人数によって何をして遊ぶかを決めたりルールを変更したり(例えば、透明ランナー:人数が少ないと塁にいる間に打順が回ってきてしまうので、打者と同じスピードで走る架空のランナーがいるとみんなが仮定する)しながら暗くなるまで遊んでいました。
伝承遊びの「メンコ遊び」が遠投能力の獲得に役立つことや、「鬼ごっこ」が敏捷性の向上に役立つことも報告されています。すべて昔が良かったというつもりはありませんが、これらを参考に今の子ども達の遊びの中にもそれらを取り入れて、伝えていくことも我々大人の役割ではないかと考えています。
また、良い選手のマネをしたりすることも大事だと思います。目で見たものと同じ動きをするためには、自分の体がどの様に動いているかを感じ取ることが必要です。それが体のコーディネーション(調整力)向上に繋がります。
そのためにも、普段からテレビでプロのプレーを見たり、もし機会があったら実際に球場に足を運んだりして、プロのプレーを直接目に焼き付けていただけたらと思います。
西武ライオンズ
米田 進