S&Cの可能性とは

2014.02.13 Thursday

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    今回は東京ヤクルトスワローズの高橋氏より投稿頂きました。


     今から15年以上前の大学時代、いやその前から私は自分の進むべき道を模索していた。もしかしたら何となくは気付いていたのかもしれないが、それが明確に何なのか分からないでいた。そんなある日、S&C(ストレングス&コンディショニング)という分野に出会う。当時、日本ではその分野の経験を得ることが難しいため渡米することになった。今思えばS&Cに出会うことも渡米することも偶然ではなく必然だった。
     
    S&Cとは何だろうか。『アスリートのパフォーマンスの維持、向上及び怪我の防止。』これが本来のアスリートに対するS&C分野の目的である。今回はそうではなく、私自身にとってのS&C分野の意味は何だろうかと考えてみた。
     
    私の考えは、『この分野を通して私自身の可能性を感じることが一番の意味(やりがい)である。』主は対象選手が指導によって自分自身の能力の可能性を感じることであるが、それだけではなく、S&Cそのものが指導する側の私に多くの人生のおける経験と展望を与えてくれている。
     
    具体的に言えば、渡米したことで語学力、他国でも生き抜ける適応力、コミュニケーション能力がつき、S&C分野とは異なる通訳やスカウトの仕事に就くこともできた。そして、それらの経験からS&C分野と密接に結びついており、国際化(他国選手サポートなど)、育成(選手獲得→選手強化、教育)などの考えも展開できるようになった。何より多くのそれらに関わる人々と出会うことで人間的な成長をすることもできている。
     
    それらが現在の私の人間力となっている。まだまだ足りないところが多いが、S&Cの分野はまだまだ私をさまざまな面から成長させ、可能性を感じさせてくれるとも思っている。この世には多種多様な専門職が存在しているが、私にとって最も興味深く、魅力ある分野であり、職業のひとつであることは間違いない。



    高橋純一(東京ヤクルトスワローズ)
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